(48)1978年2月26日 土の上を歩きたい 淳一郎

二週間ぶりの手紙になりますがお変わりございませんか。ただ今土曜日の夜2月25日の1時過ぎ、この時間にしらふでいるのは珍しいこの頃です。今晩はバスケットボールチームがライバルに勝って大騒ぎ、その後僕は一人でドクター・ジバゴを見ました。良い映画でした。広大なロシアを舞台にして別離・共存の意義を考えさせる映画でした。いろいろな体験を通して悲喜こもごも、今までの生活を振り返ることの多いこの二三週間です。 今週末は、一つもパーテイに行かないで静かに考えています。昨日の晩は、僕と同じ様にパーテイに呼ばれなかった男同士2人が、ひょんなことから僕の部屋で喧嘩になり、中にはいっとめたい慰めたりさせられました。要するに彼らはデートもなければパーテイにも呼ばれなかった週末が我慢できなかったのでしょう。 一般的にいって彼等は、パーテイに行ってばか騒ぎしないと、社交的でない人間に見られるとでも思っているようです。特に、一年生にこの傾向が強いようです。今までの僕がそうでした。もう少し、自分自身に正直で、過大な期待を持つのはよそうと思っています。一言で言えば、早く大人になりたいということでしょうか。 なんだかんだで疲れが出たのか、2,3日前眠たくて眠たくて困りました。朝起きてクラスで居眠り、昼寝して、時々起きて居眠りをするという時期があって、どうなることかと思いましたが、思い切って寝たのがよかったのか元に戻りました。 こちらでも、ロシア風の風邪が大流行。友達の中にも風邪のためクラスについていけなくなってコースを落とす人がいます。また他の大学に移ることを考えている人が結構います。ちょっぴり寂しくなりました。要するに冬のこの寒さのせいです。 一つの救いは、春の兆しが肌に感じられるようになってきたことです。雪国の人が春を待つ気持ちが初めて分かったような気がします。土の上を歩きたい、金があったらフロリダへでも飛んで行きたい、つららが音を立てて溶けていくような暖かい朝は、歌でも歌いたくなるような気がします。思い出すのは、島崎藤村の「千曲川旅情の歌」です。春が来れば僕も二十歳になります。しっかりせねば。 ではまた。

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