(51)1978年3月19日 五郎

電話ありがとう。用件は電話で話したので特にないが、本年度の仕事が今日で終わったのでほっとしているところだ。しかし私はこれからが大変だ。例によって盆栽の植え替えの仕事が待っている。相手が植物なので、植え替えの時期を外すことができない。一年で一番忙しいときだが、楽しみも大きい。鉢から盆樹を抜く。根の張り合い具体で木の成長状態を判断して、この一年間の育て方を反省し、これからの栽培方法を考える。土をどうするか。肥料は?剪定は?おき場所は?植え方は?その前に鉢はどれにすれば良いか?時には、一本の木を一時間も眺めて考えることもある。最も楽しい時間だ。仕事のうえのストレス解消には最高だ。 盆栽の王様は松。成長が早く、且つ長命で「幸福をマツ」という縁起のよい木。地植えの松は、一年に2メートル以上も伸びる物がある。上へ上へと真っ直ぐに伸びる。太陽を独占するために周囲の雑木を枯らし、下草をはやさない。「まつたけ・はったけ」は育てるが。しかしその力強かった木も、長く風雪に耐えて古木となると、どの木も枝先を斜め下に垂らすようになる。若木の頃と同じ様に枝が上に向いて伸びていると、風雪、特に雪の重さで枝が折れてしまう。上向きになっている針のような葉に雪が積もって、枝が折れるのを防ぐ自衛手段だが、私にはこれが、若木の木の頃の「若気のいたり」を反省した謙虚さの表現のように思われて仕方がない。 「人間は、一方では逃げ場のない運命と争いつつ、他方では、新しい人生を創造するに足る情熱を残すことは出来ない。逃げ場のない人生の嵐がくれば、選ぶべき道は二つに一つだ。頭を下げるか、それとも反抗して吹き折られるかだ。」(カーネギー) 盆栽の植え替えをしながら、このことばを思い出した。500ドル同封する。1ドル133円也。 17日に川喜田先生にお会いした。開口一番「淳一郎くんは良い青年ですねえ」と、何回も繰り返しておられた。照れくさかったが、嬉しかったなあ。淳一郎は、良い青年だと。期待にこたえてもらいたいものだ。 25日、九品仏のおばあさんの喜寿(77歳)の会。お祝いの手紙を出すこと。26-8日、二泊三日おじいさんとおばあさんを箱根にご招待。 経堂の叔父さんの術後の経過は良好、腎臓は摘出しなかった、ご心配なく。 ではまた。

コメント

このブログの人気の投稿

(8)1977年9月3日 ノックス大学到着 (淳一郎)

(7)1977年8月23日 (恵子)